Solo Exhibition:永い日記

丸安田中屋|7.4〜7.28
exhibition|永い日記
10:00-19:00  入場料無料

最終日 10:00-17:00 
定休日:水曜日

永い日記

「私、部活のために学校へ行っていました。」

この言葉は私が諏訪二葉高等学校を卒業した6年後に、同じ高校へ入学し、
私と同じ部活・弓道部に入部した木暮咲希ちゃん(グレちゃん)から聞いた。

cafetacで取り止めのない会話から生まれた、彼女の言葉は衝撃だった。
既に高校は2人とも、とっくに卒業していた。

在学当時の私も同じように、
部活のために

学校へ行っていたようなものだった。
上手とはいえなかったし、
今はもう、
弓道の作法は何も覚えていないけれど、

楽しかった記憶は残っている。
部活のために学校へ向かっていたから、
本来ならばうまく馴染めていないはずのクラスに馴染もうと努力していたし、

早起きは得意じゃないけれど、
朝早く、電車を待つ間に聴く
くるりのハローグッバイは情緒的で好きだった。

あの時は身近な人に伝えられなかった感覚の全てを残したくて、
毎日のように、日記を書いていた。


卒業するまでに20冊を超えたノートの束は、
充分すぎるほど、記憶を引きずった。

5年後、すがり過ぎていた私が嫌になり、日記は全て捨ててしまった。

「大事なものを捨てないと前に進めない。」と信じてしまうほど、私は無知だった。

その後は誰にも頼まれることのない、作品づくりを始めた。

それよりもできることはあったかもしれないが、
自分が正しいと思ったことを、続けること以外は思いつかなかった。

時は流れて11年後、

展示会場の田中屋さんで勤務する土橋さんから、
展示のお声がけを頂いた。土橋さんは高校時代、同じ部活(弓道部)の一個上の先輩だった。
捨ててしまった日記の中にも、きっと登場していたはずだ。

当時の感覚を全て記したものを捨てたことで、
年月をかけて少しずつ、終わりにしたはずの物事の再生が始まった。

もし、作品づくりをやめていたら、
8歳も年齢が離れたグレちゃんの
言葉は知ることもなかったし、

かつて学校へ向かうためだけに通っていた
上諏訪駅の再生していく姿は、気にもとめなかったかもしれない。

その後あらゆるきっかけに繋がった、
8年前の川原真由美先生の展示にも足を運ばなかったし、

友達にもう一度会えることもなかったかもしれない。

そして、あの日記の内容は確実に忘れていく。

今は
何年かして止まった習慣、

捨ててしまった日記の束。
繰り返した質感だけを、

たまに思い出すだけになった。

記憶はまわり続け、
終わらない永い日記となる。

Early morning,
I loved waiting for the train while listening to Kururi’s Hello Goodbye.
There was a time when it was common for her to write about her unchanging days in a diary.

Habits I gave up years ago, stacks of discarded diaries.
Now I only occasionally remember what it felt like back then.
My memories repeat themselves and I envision a diary that will never end.

原画の売買について:

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この度はクボタノブエ個展「永い日記」にお越しいただきありがとうございます。
展示会場の丸安田中屋本店では、展示されている原画の売買を行っておりません。

原画は全てオンラインのみの販売となっております。
気になる原画がございましたら備え付けのQRを読み取り、ご検討ください。


※会場に設置された値札付きのグッズにつきましては、丸安田中屋本店にて購入可能です。
 展示用の専用レジまでお持ちいただき、お会計をお願いいたしtます。

※ご購入頂いた原画につきましては展示終了後、順次発送いたします。

会場について

丸安田中屋 本店
〒392-0022 長野県諏訪市高島 3丁目1421-1最寄駅 :JR上諏訪駅

留意事項:

会場はカフェ併設のパティスリーとなります。
ワンドリンク制などの決め事はなく、どなたでも入場できますが、
田中屋さんのお菓子はとても美味しいため、足をお運びになった際は、
お求め頂けましたらクボタは嬉しいです。

また、土日は混雑が予想されます。カフェをご利用のお客様もいらっしゃいますので、
譲り合ってご利用いただけますと幸いです。